体質と漢方

写真:睡眠のイメージ


人の体は、内から外からいろいろな影響を受けています。

ホルモンや血圧、神経系などが体を正常に保とうと常に変化しています。

東洋医学的に見ると、陰陽のバランスが良く、気・血・水が充実しスムーズに巡っていれば健康です。


でも、悪い生活習慣の積み重ねにより、いろいろなバランスが崩れて体を正常に保てなくなると、

体調が悪くなったり、不眠・イライラなど精神不安定になったりします。

始めは体調のちょっとした「変化」かもしれません。気にもとめないかもしれませんが、

やがてそれが慢性化して、徐々に「体質」となって行きます。

一旦「体質」になってしまうと、それを「改善」するには時間が掛かりますし、治りにくい場合もあります。

もともと備わっている個性としての体質はあるものの、

漢方の考え方を取り入れながら生活習慣を改善する事で「バランスの良い健康体」に近づける事が出来ると思います。

あるいは、「何となく体調が悪い」と感じる時期(未病)に手を打つ事で、

より重大な病気に発展しないようにする事も期待できます。

これが、体質改善のイメージです。



もう少し、具体的に説明します。



まず、睡眠についてです。

漢方では、昼は・夜はと捉えます。

日中は活動して夜は寝て休息するという自然のリズムに合わせた生活をしないと、

陰陽のバランスが乱れたり、陰陽どちらかを消耗したりします。

例えば、「陰虚」体質。

夜型の生活を長く続ける事で、陰分(水)をどんどん消耗して体がオーバーヒートしてしまいます。ひどくなると、のぼせ・ほてり・寝汗・耳鳴りなどの症状が出ます。

不妊相談で毎回お話させて頂くのですが、11時ぐらいまでには就寝する事をお勧めしています。

また、寝不足のみならず寝過ぎも良くないです。

寝過ぎると精子の質が落ちるなんてデータもあります。

「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね。

睡眠のバランスが良くなると妊娠しやすくなります。また、自律神経の働きが良くなり体調が改善します。



写真:色とりどりの野菜


次に、食事です。

食べ物には、漢方薬と同じように臓器を養う作用があります。

例えば、黒酢・レモンなど酸っぱいものは「肝」を養います。

山芋・バナナなど自然由来の甘みを持つものは「胃腸機能」を補い虚弱体質を改善します。

他にもいろいろありますが、不足したり逆に取り過ぎたりすると体のバランスが乱れます。


また、食べ物にはそれぞれ「体を温める」「余分な熱を取る」などの性質があります。

その方の体質に応じて食材を選ぶと良いと思います。


イラスト:人参

(人参:色々な漢方薬に用いられます)


最後に、漢方薬です。

漢方薬は、「体質に合ったものを選ぶ」事が重要です。

例えば、気虚体質(気が不足するタイプ)。

疲れやすい・だるい・元気が出ない・風邪を引きやすい・冷え性などの症状が特徴です。

このタイプの人には「補気薬」を用います。

代表的な生薬は、(朝鮮)人参です。

他に、黄耆や山薬(やまいも)なども使います。

気を補い体のバランスを整える事で上記の症状を改善します。

勿論、体のバランスは変化しますので、時々漢方専門の薬剤師などにチェックしてもらいながら選薬されると良いと思います。

2019年05月22日|カテゴリー:漢方